静岡県マンション管理士会
静岡県マンション管理士の団体

A「住民間トラブル」Q&A

A「住民間トラブル」

(1)管理規約はペット飼育禁止なのに、ペットを飼っている区分所有者がいるけどどうしたらいい?

A. 
1)管理規約上、ペット飼育禁止とされているのに区分所有者がペットを飼っている場合、その区分所有者は、少なくとも形式的には、管理規約に違反しているということになります。
管理規約上の義務に違反する者に対しては、多くの管理規約では、理事長が違反行為の是正を求めたり、訴訟を提起したりできることになっています。
したがってこうした規約の規定に基づいて、広報等でペット飼育禁止となっていることを繰り返し周知し、飼育している本人に対しても、それが規約に違反し、共同の利益に反する行為であることを理解してもらうなどの方法を採ることになります。
違反の程度が重い場合(他の区分所有者の迷惑の程度がひどい、繰り返し是正を求めても応じない、などが考えられます)には、「共同利益違反行為」(区分所有法第6条)として、総会の決議に基づいて、区分所有法の第57条から第60条までの定めに基づいた以下のような必要な措置をとることもできることになります。
ア)共同の利益に反する行為の停止等の請求(第57条)
イ)専有部分の使用禁止の請求(第58条)
ウ)区分所有権の競売の請求(第59条)
エ)占有者に対する引渡し請求(第60条)

2)けれども、注意すべきなのは、ペット飼育禁止を規定した管理規約などのルールが守られない状況が、むしろ大多数を占めるというような場合にまで、このような原則が適用できるか、という点です。そのような場合にまで、法第59条を適用するような事態は、望ましくはないでしょう。
現代において、ペットは人生のパートナーと考える方もあることを踏まえて、規約のルールが多くの区分所有者に守られない状態になっている原因や状況の如何によっては、むしろ、管理組合内での丁寧な協議を経た上で、ペット飼育禁止の規約を改め、例えば
・飼育するペットは一代限りと定めてその間だけ認める
・区分所有者のうちのペット飼育者の会においてルールを定め、その徹底を図る
などの一定のルールの下で、ペット飼育を認めるような解決の方向の方が現実的な場合もあるかも知れませんね。

(2)上の階の音がうるさくて困るんだけど、どうしたらいい?

A. 階上からの騒音が激しい場合は、マンションでの平穏な生活に支障となり、困りますね。
その騒音が、どの程度の範囲の人々に迷惑となっているかによって、若干考え方が異なる可能性があります。
騒音が、複数の住戸の居住者に対する迷惑行為といえる上に、それが、「受忍限度」(その程度なら我慢しなさいというべき限度)を超える場合には「共同利益違反行為」(区分所有法第6条)として、総会の決議に基づいて、区分所有法の第57条から第60条までの定めに基いた上記1に記載したような必要な措置をとることもできることになります。
これに対して、真下の住戸に対してだけうるさい上階の床からの振動音などの場合には、必ずしも上記の様には言えないこともあります。
被害を受けている特定の人からの防止の求めは、個人的な感情問題になりやすいことから、管理組合としては、円満な解決のための仲介や、被害者を匿名として指摘して留意や改善を促すことなどが考えられます。
これは、標準管理規約において管理組合の業務とされている「十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」に含まれるものと考えられます。
しかしながら、特定の住戸だけが被害者、という場合には、共同利益違反行為には、なりにくいでしょう。
管理組合としての仲介の限度を超え、受忍限度を超える様な被害を生じている場合には、特定の被害者が加害者に対して、法的な手段を取るなどの方法によらざるを得ない場合もあろうかと思われます。

(3)バルコニーの専用使用権って何なの?

専用使用権とは、専用庭やベランダ、バルコニーなど、マンションの敷地や共用部分の一部を、特定の区分所有者がもっぱら使用できるように認めた権利であり、一般的に、管理規約で定めることによって認められることになります(区分所有法18条2項)。
しかし、この権利は絶対的なものではなく、あくまでも、専有部分ではなく、共用部分です。これらが専有部分ではなく共用部分とされていることには理由があり、避難通路などとしての役割を果たすために、区分所有者の全面的な支配に委ねることは不適切であると考えられるからです。
したがって、もともとは専用使用権が認められていた部分であっても、共用物の管理に関する事柄として、規約の変更などの手続きを経ることによって、消滅させるようなことも認められるとするのが判例、通説ですので、留意が必要です。

(4)水漏れがあったとき、保険は使えるの?

マンションの水漏れは、それが共用部分から生じる場合と、専有部分から生じる場合、さらには、どちらから生じたか不明な場合があり得ます。
マンション管理組合は、共用部分の問題から発生した損害については賠償責任保険に加入している場合が多いでしょうし、また、是非加入しておくべきだと思われます。こうした賠償責任保険に管理組合が加入していた場合、共用部分から水漏れが生じた場合には、それによる損害について、その保険を使えることになります。
これに対して、専有部分から水漏れが生じた場合には、責任は、専有部分の区分所有者が負うことになりますから、マンション管理組合の加入している保険を使うことはできません。区分所有者が専有部分について自ら保険に加入していた場合には、その保険を使えますが、そうした保険に加入していない場合には、区分所有者自らが責任を負わざるを得ないこととなります。但し、管理組合として、個人賠償責任保険に加入しているような場合には、専有部分からの水漏れの場合であっても、保険が使えるということはあり得ます。
なお、水漏れが共用部分と専有部分のどちらから生じたか、くまなく調査してもなお、不明な場合には、区分所有法9条に基づいて、共用部分からと推定されることとなります。したがって、この場合、管理組合が保険に加入している場合、その保険が使えるということになります。
なお、保険の詳細については、上記の水漏れ発生部分がどこであるかを調査する費用について保険が使えた、など、保険会社によっても保険の制度設計が異なるようなこともありますので、保険会社に相談していただくのが良いでしょう。

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