静岡県マンション管理士会
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D「長期修繕計画と大規模修繕工事」Q&A

D「長期修繕計画と大規模修繕工事」

(1)長期修繕計画の作成目的は何ですか。また、どのような時期に見直したらよいですか。

A. マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、定期的、継続的に保守点検を行うと共に、適時適切な修繕工事を行う必要があります。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改修工事を行うことも望まれます。そのためには、次の①~③を目的とした長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。
①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。
②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。
③修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。

また、長期修繕計画は、次に掲げる不確実な事項を含んでいますので、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。併せて修繕積立金の額も見直すことが望まれます。
①建物及び設備の劣化の状況
②社会的環境及び生活様式の変化
③新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動
④修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、消費税等の変動

(2)長期修繕計画の内容はどのようなものですか。

A. 長期修繕計画は、将来行う修繕工事を推測し、必要な修繕工事費を算定するものです。
あらかじめ、専門家による調査・診断を実施して、建物・設備等の劣化状況、区分所有者の要望等の現状を把握するため、設計図書、修繕履歴等の調査、現地調査、必要により区分所有者に対するアンケート調査等を行います。この調査・診断結果等を、理事会や専門委員会で十分に検討し、長期修繕計画に反映することが大切です。
その内容としては、
(ア)計画期間の設定
(イ)推定修繕工事項目の設定
(ウ)修繕周期の設定
(エ)推定修繕工事費の設定
(オ)収支計画の検討
について定めます。
また、社会情勢や生活様式の変化などに応じて、マンションの性能(省エネ、バリアフリー、防犯対策等)を向上させるグレードアップ工事の項目についても計画に入れることが望ましいとされています。

(3)大規模修繕工事を実施するに当たり、どのような時期に、どのような手順で進めるのがよいですか。

A. マンション管理標準指針において、適切な長期修繕計画に定められた時期を目安として、調査・診断の結果に基づいて計画された工事の要否、実施する工事内容等を検討して実施することが標準的な対応とされています。
基本的な進め方は、下図の通りです。
<図-1 大規模修繕工事の基本的な進め方(例)>(別ウインドウで開きます)
上図の通り、大規模修繕工事を実施するには、工事の内容、設計事務所の選定、施工会社の選定、資金調達など様々なことを検討しなければなりません。
これらを検討し組合員の合意を得ていくには、下記の事項が重要です。
①大規模修繕工事専門委員会の設置
理事会の諮問機関として、大規模修繕工事に関する検討を行う「専門委員会」を設置することが適切と考えられます。専門委員会においては、大規模修繕工事の必要性、実施すべき工事の内容・実施時期・工事の金額とその資金計画、設計事務所の選定、施工会社の選定などについて検討する重要な役割を受け持ちます。
②専門家の選定
これらの総てを管理組合の内部で処理することは困難であるため、外部の専門家に依頼して行うのが一般的であり、次の方式があります。
・設計監理方式:設計事務所、管理会社等のコンサルタントを選び、設計全般と工事監理を委託する方式。設計と施工が分離している。
・責任施工方式:信頼のおける施工会社を選定し、設計から工事までを請け負わせる方式。設計と施工が一体なので、専門的な第三者チェックに欠ける。

(4)大規模修繕工事を行う予定ですが、資金が不足しています。どうすればよいですか。

A. 長期修繕計画に基づいた修繕積立金の額を積み立て、資金の準備をしておくことが必要ですが、資金不足分への対処には、次の3通りの方法があります。
1)区分所有者から一時金を徴収する。
2)融資を受ける。
3)一時金徴収と融資を併用する。
負担額が少額であれば一時金でも良いという場合もありますが、金額が大きくなると融資を検討することも必要となります。
融資を受けた場合、一般的には返済金が通常の積立金に上乗せされますので、一時金と借入金のバランスを検討する必要があります。
融資は、住宅金融支援機構にマンション共用部分リフォーム融資があり、一定の条件を満たせば法人でなくても管理組合として融資が受けられます。
また、修繕工事に優先順位をつけ、資金に応じた修繕項目だけとする、資金が十分になるまで修繕工事を先送りするというような方法もあります。

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